チェックシート3


1. ハロゲン化銀乳剤を調製するときにゼラチンを共存させるのは [ 1 ] として作用させ,[ 2 ] ためである.
2. 第一熟成では [ 3 ] Ostwald 熟成がおこる.その結果,粒子の大きさは平均的には [ 4 ] なり,そのため写真的には [ 5 ].
3. 25 ℃における Ag+ + e = Ag の標準電極電位 Eo を SCE 基準で示せ.
4. 25 ℃において NaCl 水溶液と AgNO3 水溶液を混合して AgCl の懸濁液を調製した.この懸濁液に銀電極を挿入して電位を測定したところ,+0.450 V vs. SHE という値を得た.この溶液中の Ag+ 濃度と Cl- 濃度を求めよ.沈殿平衡が成立しているとしてよい.

5. 現在の乳剤製造の主流は [ 6 ] である.この方法では一定の [ 7 ] を保ちつつ,粒子の [ 8 ] に必要な分だけ反応物を添加していく.この方法で [ 9 ] 乳剤を製造することができる.


解答とコメント
穴埋め
[ 1 ] 保護コロイド
[ 2 ] ハロゲン化銀粒子の分散安定性を高める(凝集を防ぐ).粒子成長の制御を含めてもよいだろう.
[ 3 ] 小粒子の溶解消滅と大粒子の成長が同時進行する.ここは解答の自由度が高い.より適切な答もあるかもしれない.
[ 4 ] 大きく
[ 5 ] 感度の上昇と解像力の低下がおこる.このほか,粒径分布の広がりに対応する有効露光域の拡大 (軟調化) も入れてよいだろう.
[ 6 ] コントロール(ド)ダブルジェット法
[ 7 ] 過飽和度.pAg あるいは pBr,Ag+ 濃度,Br- 濃度などでもいいだろう.
[ 8 ] 成長
[ 9 ] 単分散.

計算問題
3. SCE (saturated calomel electrode, 飽和カロメル電極) はかつてよく使われた実用参照電極のひとつである.水銀を使うため,近年ではあまり使用されなくなった.25℃における SCE の電極電位は +0.241 V vs. SHE である (SHE = standard hydrogen electrode, 標準水素電極).以上のことは講義中には説明し忘れたので,SCE とはなんぞや? と思った人も多いと思う.SHE のミスタイプと思った人もいるかもしれない.
Ag/Ag+ の標準電極電位は +0.799 V vs. SHE である (25℃).この電位を SCE を基準に見れば,0.799 - 0.241 = 0.558 V となる.
基準電極の異なる電位の換算は,数直線上に電位をプロットするとよくわかるだろう.



4. Ag/Ag+ 系における Nernst の式 25℃において,
E = 0.799 + 0.059 log[Ag+]
と書き下すことができる ( n = 1, R = 8.314 Jmol-1K-1, F = 96500 Cmol-1, さらに自然対数を常用対数に変換してある).E = + 0.450 V をこの式に代入することで, [Ag+] = 1.2 × 10-6 mol/L と求められる.さらに,沈殿平衡が成り立っていると見なせば,Ksp = [Ag+][Cl-] = 一定 という関係を使って (25℃における AgCl の Ksp = 1.8 × 10-10 mol2L-2),[Cl-] = 1.5 × 10-4 mol/L と計算される.