チェックシート6


1. 現在のフィルム用乳剤のほとんどは [ 1 ] を使って化学増感されている.この場合,増感核は主に [ 2 ] として機能する.
2. 化学増感のもう一つのパターンは [ 3 ] と呼ばれ,ハロゲン化銀を [ 4 ] することで [ 5 ] あるいは [ 6 ] を導入し,潜像形成効率に寄与する.
3. 化学増感は [ 7 ] によってもおこる.
4. 分光増感は [ 8 ] に対する感度を持たせることが目的であり,それによって視覚特性に近い画像記録が可能になる.
5. 分光増感現象は [ 9 ] 色素分子が光を吸収し,電子が励起されるところから始まる.この励起電子は [ 10 ] に注入され,ここから固有吸収光露光を行った場合と同様の [ 11 ] が始まると考えられている.
6. ある色素が分光増感をおこすことができるかどうかは,色素の吸収波長のほか,色素の [ 12 ] のエネルギーレベルとハロゲン化銀の [ 13 ] のエネルギーレベルとの相対的な位置関係が重要である.
7. 分光増感色素の [ 14 ] および [ 15 ] のエネルギーレベルは,それぞれ [ 16 ] と [ 17 ] を電気化学的に測定することで推定できる.
8. 色素分子によってはハロゲン化銀表面上で [ 18 ] を形成することがある.



解答とコメント
穴埋め

[ 1 ] 金とイオウ.どちらかだけを挙げた者が目立ったが,とくにフィルムでは両方を使っている場合がほとんどと考えてよいだろう.
[ 2 ] 電子トラップ.イオウ増感核が正孔トラップとしての機能を持つことは多くの実験によって指摘されているが,主たる働きは電子トラップであるというのが現在の定説である.
[ 3 ] 還元増感
[ 4 ] 還元
[ 5 ],[ 6 ] 銀原子,正孔トラップ.順序は問わない.銀原子の代わりに亜潜像核や現像中心にならない程度の銀クラスター (潜像の前躯体) などとしてもよいだろう.
[ 7 ] ゼラチン中の不純物
[ 8 ] ハロゲン化銀の固有吸収域より長い波長の光
[ 9 ] ハロゲン化銀表面に吸着した.吸着していない色素は増感に関与しないと考えてよい.
[ 10 ] ハロゲン化銀の伝導帯.LUMO という答も見られたが,ハロゲン化銀結晶の電子状態に LUMO というものは存在しない (そもそも MO とは「分子軌道」の略語である).分子と結晶とをきちんとわけて考える必要がある.
[ 11 ] 潜像形成過程.現像という答も見られたが,どちらの方が文脈的にふさわしいだろうか.
[ 12 ] LUMO
[ 13 ] 伝導帯の底.ハロゲン化銀結晶については HOMO,LUMO というものはない点に注意.同様に色素分子に伝導帯や価電子帯はない.
[ 16 ],[ 17 ] HOMO,LUMO
[ 18 ],[ 19 ] 酸化電位,還元電位.HOMO は酸化電位,LUMO は還元電位から見積もることができる.ここでいう酸化電位とは,色素を電気化学的に酸化するときにどの程度の電位をかける必要があるかの目安であり,物理化学的には色素とその酸化体とで作られる酸化還元対に対する標準酸化還元電位 (標準電極電位 -> Nernst の式を参照) を見積もっている (正確にはその近似値であるが).還元電位も同様.
[ 20 ] 凝集体.会合体とも.