チェックシート7


1. 写真における相反則はどのような規則か.
2. 低照度長時間,あるいは高照度短時間の露光を行うと,通常の露光条件よりも感度が [ 1 ] し,相反則が成立しなくなる.これを [ 2 ] という.
3. 低照度露光では露光によって生成した [ 3 ] が次の光電子を捕獲して成長するより先に熱励起による [ 4 ] がおこってしまい,潜像核に成長できないことによっておこる.
4. 高照度露光では同時に多くの [ 5 ] が生成するため,複数の電子トラップへの捕獲競争がおこる.そのため,1粒子中に複数の潜像が形成される (これを [ 6 ] という) ことになり,光量子の利用効率が落ちる.
5. 露光によって潜像が形成された乳剤に,固有吸収光よりも長波長の光を当てると潜像が破壊されることがある.これを [ 7 ] といい,禁制帯中にある潜像核の [ 8 ] が [ 9 ] ことによって潜像が破壊される現象である.



解答とコメント
穴埋め
[ 1 ] 低下
[ 2 ] 相反則不軌
[ 3 ] 銀原子.あるいは初期潜像核.熱解離がおこるのはニ量体以上でも同じだが,エネルギー的な問題で,熱励起の可能性をもっとも考慮すべきなのは初期潜像,すなわち銀原子である.しかし,極端低照度,極端長時間露光を行えば,ニ量体以上の分解も問題になる可能性はある.
[ 4 ] 解離.もちろん,銀原子が銀イオンと自由電子に解離する.分解でも.
[ 5 ] 光電子
[ 6 ] 潜像分散
[ 7 ] Herschel 効果.ソラリゼーションではない.
[ 8 ] 電子
[ 9 ] 光励起

記述
1. 一般に光化学反応のおこる量は,系に吸収された光量に比例する (Bunsen-Roscoe 則).光化学反応は分子が光を吸収して電子励起され,この励起種が反応することによっておこる.励起種の発生数は当然吸収光量子数と同じなので,この規則が成立する.
写真においては,「写真の写り方は露光量が一定なら同じである」ことであり,露光量が露光時間と露光照度の積で定義されるため,露光時間が半分になるなら露光照度を倍にすれば同じ写真が得られるということを意味する.もちろん,この中にはレンズ光学系に起因する被写界深度やボケの問題は考慮されていない.