チェックシート9
1. 現像を行う現像主薬のほかに現像液に含まれている成分として必要な機能を挙げよ.
2. 定着の原理から考えて,定着主薬に必要な条件を挙げよ.
1. 緩衝剤.現像反応は液の pH に敏感であり,適切な pH でないと現像自体がうまくできないほか,pH 変動は画質のブレの原因になる.そこで,現像液の pH を適切に設定,維持する成分として緩衝剤が必要になる.現像が pH に依存する主因は,現像主薬自体が弱酸であり,pH により解離状態が変化すること,一般的に解離種が現像活性種であることである.また現像自体もハロゲン化銀およに潜像核に吸着したゼラチン等によってコントロールされていることもあり,その吸着状態を極端に変えてしまうような高 pH 条件では,適切な現像ができなくなる (一般的には吸着による現像抑制が効かなくなり,かぶりやすくなる).
保恒剤.現像主薬は還元剤であるが,これは空気中の酸素に酸化されてしまう.そこで液中の溶存酸素濃度を下げて保存性を高めるような還元剤が必要である.また現像反応によって生成する現像主薬酸化体は,現像抑制剤として働くため,これを反応系外に除去することも現像性能の維持のためには必要である.この両方を兼ね備えたものとして,モノクロ用の現像液では亜硫酸塩が多く使われる.亜硫酸イオンは酸素とすみやかに反応し,硫酸イオンになる.硫酸イオンは現像反応には影響しない.現像主薬酸化体は亜硫酸イオンとスルホン化反応をおこし,生成物はやはり現像反応にはほとんど影響しなくなる.
このほかカブリ防止剤などを必要に応じて添加する.
2. (1)銀イオンと安定な水溶性錯体を形成する.難溶性のハロゲン化銀を溶解するためには十分に高い安定度定数を持っている必要がある.
(2)定着主薬が金属銀とは反応しない.