チェックシート10


1. カラー写真の色素形成反応は,[ 1 ] 誘導体を現像主薬に用いる方法が主流である.
2. 現像主薬は,露光ハロゲン化銀粒子上で酸化され,生成した現像主薬酸化体が感光層中に仕込まれた [ 2 ] と反応して色素が生成する.
3. 色素 1 mol を生成するのに必要なハロゲン化銀の物質量に基づいて,カプラーは大きく [ 3 ] と[ 4 ] に分けることができる.
4. オイルプロテクトカプラーは色素を [ 5 ] 中に形成させる.このような方式をとるメリットには次のようなものが挙げられる:

5. DIR カプラーとは色素形成時に [ 6 ] を放出するカプラーである.DIR カプラーによって改善されるのは,以下のような点である :

6. カラードカプラーは,色素の [ 7 ] の補正を目的として使用される.


解答と解説
穴埋め

[ 1 ] p-phenylenediamine.
[ 2 ] カプラー
[ 3 ], [ 4 ] 2当量カプラー4当量カプラー.順不同.
[ 5 ] ゼラチンバインダ中に分散させた,高沸点有機溶媒の微細な油滴
[ 6 ] 現像抑制剤
[ 7 ] 不正吸収

記述
4. 現像によって形成される色素は基本的に乳剤層内を移動してはならない.そのため,色素ないしカプラーを乳剤内で不動化する必要がある.そのためのひとつの方法にゼラチンバインダ中に微細な油滴を分散させ,その油滴内にカプラーを溶解しておく方法がある.カプリングによって生成する色素も油滴内に保持される.このようにすることで,色素分子が乳剤層内に画像として固定される.
油滴を用いずに色素を不動化する方法はほかにもあるが,油滴中に保持することで,空気 (大気汚染物質を含む) や水から遮断されるために保存性が良好である,クリアな発色が得られる (ミセル法などでは光散乱などがおこりやすい),油滴内に色素 (カプラー) を保持するような分子設計は比較的容易である,などがメリットとなる.
5. DIR カプラーはカプリング時に現像抑制剤を放出する.この抑制剤が現像を停止する結果,第一に色素雲が無用に広がらず,画像の空間分解能が確保される.同時にエッジ効果を引き起こし画像の見かけのシャープネスを向上させる.抑制剤が他の発色層に作用する場合 (重層効果,層間効果) には発色の弱い層の発色をより弱めることにより,彩度が向上する (主観的色再現の向上).