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研究テーマ

 本研究室は,銀塩写真に用いられるハロゲン化銀微粒子の生成機構研究に端を発しており,現在は機能性顔料や蛍光材料など,色や光に関連した無機系材料を主なターゲットとして,これらの微粒子・ナノ粒子の新規液相合成法の開発と応用,およびその生成機構解析に関するテーマを中心に研究活動を行っています。



WO3H2O-SEM水熱反応によるヒドロキシアパタイト粒子の合成

 ヒドロキシアパタイトは,骨や歯の無機成分として知られるバイオミネラルであると同時に,そのハロゲン置換体(ハロリン酸カルシウム)は蛍光体母体材料としても利用されている機能性材料です。当研究室では,ニトリロ三酢酸カルシウムナトリウム沈殿が,一次元形状ヒドロキシアパタイト粒子の水熱合成法におけるカルシウムイオン貯蔵源として有効であることを見出しました。

F. Shiba, T. Suzuki, Y. Okawa, J. Ceram. Soc. Jpn., 125, pp.926-928 (2017).

 


クエン酸還元法における単分散Auナノ粒子のサイズ制御

 金(Au)ナノ粒子は,ガラスの着色に古くから利用されてきましたが,近年は,非線形光学材料やセンサー材料,抗体検査薬など,様々な分野への応用が期待されています。クエン酸還元法は,沸騰させたHAuCl4水溶液にクエン酸ナトリウムを添加するという簡便な合成操作で,平均粒径15 nm程度の単分散Auナノ粒子を再現性良く得ることができることから,広く利用されている代表的な合成方法ですが,より小さなAuナノ粒子の合成には,タンニン酸などの成長制御剤の併用が不可欠でした。
 これに対して当研究では,クエン酸ナトリウムに代えてクエン酸を用い,所定時間経過後に水酸化ナトリウムを添加して,反応初期のpHを能動的に制御することで,単分散Auナノ粒子の粒子サイズを,6 ~ 15 nmの範囲で任意に制御する手法を見いだしました。吸着力の比較的弱いクエン酸のみにより保護された粒子は,機能性分子による表面修飾において有利であり,今後の応用が期待されます。

F. Shiba, CrystEngComm, 15(42), pp. 8412-8415 (2013) .


CEC_InsedeFrontConver水酸化イットリウムナノチューブの水熱合成と酸化イットリウム蛍光体への展開

 希土類ドープ酸化イットリウム蛍光体の前駆材料である,水酸化イットリウムの水熱合成法に関する研究を行っています。イットリウム塩水溶液へのアルカリ水溶液の添加方法および条件制御により,ナノチューブの選択的合成およびそのサイズ制御が可能であることを見いだしました。このナノチューブは,高温焼成により,チューブ構造を維持したまま酸化イットリウムへの変換が可能です。


F. Shiba, T. Tamagawa, T. Kojima, and Y. Okawa, CrystEngComm, 15(6), pp. 1061-1067 (2013) . (also on the inside front cover of the issue) 【同誌の2013年2月論文アクセスTop10にランクインしました】

 


単分散プルシアンブルー類似体ナノ粒子の合成PB-SEM

 プルシアンブルー(FeIII4[FeII(CN)6]3nH2O)は,葛飾北斎も愛用した,古くから知られている青色顔料ですが,近年ではエレクトロクロミック材料やセンサー材料などへの応用が期待されています。また,一部または全てのFeを他の遷移金属で置換したものは,プルシアンブルー類似体と呼ばれ,新たな機能性材料として注目されています。本研究室では,還元反応や錯体からの金属イオン放出を利用して,沈殿生成反応を制御し,単分散プルシアンブルー類似体ナノ粒子の合成を行っています。なお,プルシアンブルー(Prussian blue)の名前は,この顔料が初めて合成された国であるプロイセン(英語でPrussia)に由来しています。

F. Shiba, Colloids Surf. A, 366, 178 (2010).
F. Shiba, R. Fujishiro, T. Kojima, Y. Okawa, J. Phys. Chem. C, 116, 3394 (2012).
F. Shiba, M. Nito, K. Kawakita, Y. Okawa, Particulate Sci. Technol., 33, 671 (2015).


WO3H2O-SEM単分散平板状WO3∙H2O粒子の合成

 酸化タングステンおよびその水和物は,電気化学的な酸化還元により可逆的な色調変化を示す,代表的なエレクトロクロミック材料として知られています。本研究では,酸性にしたNa2WO4水溶液を適切な温度条件下で静置することで,正方形平板状の単分散WO3∙H2O粒子が生成することを見いだしました。

 

F. Shiba, M. Yokoyama, Y. Mita, T. Yamakawa, Y. Okawa, Mater. Lett., 61, 1778 (2007).

 


WO3-EC酸化タングステンナノ粒子のエレクトロクロミズム

 上記の単分散WO3∙H2O粒子の合成法において,条件を少し変えると,酸化タングステンナノ粒子を得ることが出来ます。これを高分子と混ぜてペースト状にしてITO電極に塗り,高温加熱することで,WO3焼結膜を作成することができます。(要は,色素増感型太陽電池におけるTiO2膜作成法の応用です。)このWO3薄膜は電気化学的な酸化還元により無色(酸化状態)⇄青色(還元状態)の可逆的な色調変化,すなわちエレクトロクロミズムを示します。

F.Shiba, N. Morishita, M. Yokoyama, Y. Okawa, Proceedings for Pan-Pacific Imaging Conference '08, Tokyo, p.426 (2008).


CDJ 単分散ハロゲン化銀粒子を用いた,粒子成長過程における
           過飽和度の反応資源供給速度依存性の検討

 微粒子の核生成速度や成長速度は,系内の過飽和度(平衡濃度に対する濃度の比)によって規定されます。このため,精密に設計された機能性微粒子を得るためには,粒子合成プロセス全体において,過飽和度を適切に制御することが求められます。粒子の成長のみが起こっているとき,供給された反応資源は全て粒子の成長につかわれるので,成長速度は供給速度を用いて記述できます。一方で成長速度は過飽和度の関数ですので,過飽和度も供給速度を用いて表すことが出来ます。本研究では,この関係式の導出を行い,単分散ハロゲン化銀粒子系において式の妥当性の検証を行いました。
 ハロゲン化銀は平衡定数等の物理化学データが豊富で,また,コントロールダブルジェット法によって反応資源供給速度のコントロールが出来ること,および電極電位測定による過飽和度の直接測定が可能であることから,本研究の様な,微粒子生成機構論の研究に,非常に適した系です。

F. Shiba, Y. Okawa, T. Ohno, H. Kobayashi, J. Soc. Photogr. Sci. Technol. Jpn., 64, 77 (2001).
F. Shiba, Y. Okawa, J. Phys. Chem. B, 109, 21664 (2005).
F. Shiba, Y. Okawa, J. Soc. Photogr. Sci. Technol. Jpn., 70, 238 (2007).

 

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