最近の研究成果一覧

DNA/Ru(bpy)32+ハイブリッド膜による交流電気化学発光の超高速応答の実現

Ultrafast Response in AC-Driven Electrochemiluminescent Cell Using Electrochemically Active DNA/Ru(bpy)32+ Hybrid Film with Mesoscopic Structures

Shota Tsuneyasu, Ryota Takahashi, Haruki Minami, Kazuki Nakamura, Norihisa Kobayashi,
Scientific Reports, vol. 7, p. 8525, (2017).

DOI: 10.1038/s41598-017-09123-2

一般的に交流駆動による電気化学発光(AC-ECL)の応答速度は数ミリ秒程度であることが知られています。本論文では、様々な機能性分子と複合可能なDNA膜中へのRu2+錯体の複合化を検討しました。その結果、サブミリ秒以下という従来系では達成できなかったAC-ECLの大幅な高速応答化を実現しました。様々な観点から詳細に解析を行ったところ、DNA膜中にRu2+錯体を導入することで、電気化学応答を有する凝集体が形成され、微小電極のように機能することで、AC-ECLの高速応答化がなされたと考えられます。

2017年09月28日

複数色のビオロゲン誘導体EC反応によるEu(III)錯体発光の電気化学的制御

Red luminescence control of Eu(III) complexes by utilizing the multi-colored electrochromism of viologen derivatives
Kenji Kanazawa, Yuta Komiya, Kazuki Nakamura, Norihisa Kobayashi
Physical Chemistry Chemical Physics, Phys. Chem. Chem. Phys. , 19, 16979-16988 (2017).
Selected as inside front cover.
DOI: 10.1039/C6CP08528H



我々はこれまでに、エレクトロクロミック(EC)分子と発光分子を組み合わせることで、発色と発光両方の電気化学的な制御について報告してきました。本論文では、シアン、マゼンタ、グリーンに着色する複数のビオロゲン誘導体のEC反応を用いてEu(III)錯体の赤色発光を電気化学的に制御しました。EC吸収帯の違いによる発光制御効率への影響を、分子間エネルギー移動の観点から議論しています。

2017年09月08日

エレクトロクロミックデバイス駆動時における電極電位の測定手法の提案

In situ measurements of electrode potentials of anode and cathode in organic electrochromic devices
Shota Tsuneyasu, Yuichi Watanabe, Kazuki Nakamura, Norihisa Kobayashi,
Solar Energy Materials and Solar Cells, 163, 200-203, (2017).
DOI: 10.1016/j.solmat.2017.01.035

一般的にエレクトロクロミック(EC)素子は、2つの電極間に酸化材料と還元材料を挟み込んだ構造を有します。酸化還元反応は各電極上で協奏的に起こるため、素子のEC特性はそれらの酸化還元電位に大きく依存しています。本論文では、2極EC素子駆動中のそれぞれの電極電位を同時に解析する手法を考案し、実際のEC素子駆動中の電極電位とEC反応性について議論しました。

2017年04月14日

ジフェニルアントラセンの電気化学安定性が青色交流駆動電気化学発光特性に与える影響

Electrochemical Stability of Diphenylanthracene and Its Effect on Alternating Current-Driven Blue-Light Electrochemiluminescent Properties
Shota Tsuneyasu, Takuya Ichikawa, Kazuki Nakamura, Norihisa Kobayashi,
ChemElectroChem, vol. 4, pp. 1731-1735, (2017).
DOI: 10.1002/celc.201600896


9, 10-diphenylanthracene(DPA)は光励起で良好な青色発光を示す物質として知られていますが、電気化学的には還元種に比べ酸化種の安定性が低いため、良好な電気化学発光(ECL)を得ることが困難でした。本論文では、DPAの酸化還元生成種の電気化学的安定性に着目し、電気化学的に安定な溶媒である炭酸プロピレンとDPAの高い溶解性を示すトルエンの混合溶媒を用い、DPAの酸化種安定性の改善を目指しました。その結果、DPA酸化種の電気化学的な安定性が大きく向上することで、交流駆動ECL特性が向上しました。

2017年04月14日

銀析出型EC素子の光学特性におけるハロゲン化物イオン種の影響

Effects of silver halide complexes on optical and electrochemical properties of silver deposition-based electrochromic device
Ryotaro Kimura, Ayako Tsuboi, Kazuki Nakamura, Norihisa Kobayashi,
Solar Energy Materials and Solar Cells, in press (2017).
DOI: 10.1016/j.solmat.2017.01.014

我々はこれまで、電解析出銀のプラズモン共鳴に基づく多様な光学特性を示すエレクトロクロミック(EC)素子について報告してきました。本論文では、銀析出型EC素中のハロゲン化物イオン種が析出銀の光学特性に与える影響を検討しました。EC溶液中の銀ハロゲン化物錯体の性質が銀析出挙動に影響をあたえることが分かりました。

2017年04月07日